緑内障とは
目から入ってきた情報は、視神経を通じて脳に伝達されます。この視神経に障害が起こり、視野が欠ける病気が緑内障です。進行に連れて見える範囲が狭くなっていき、失明に至る可能性があります。失われてしまった視野を取り戻すことはできないため、できるだけ早い段階で治療を開始して進行を抑制する必要があります。ただし、自覚症状が現れにくく、かなり進行してから気付くケースが多いため、定期的な検診が重要です。
緑内障の症状
緑内障の代表的な症状は見える範囲が狭くなる視野の欠けです。欠ける部分に決まりはなく、視界の一部が見えなくなります。ゆっくり進行していきますが、両目が同時に進行することはあまりありません。そのため、両目で見ていると片目では見えていない部分があっても正常な目が見えていない部分を無意識に補ってしまうため、欠けがかなり大きくなるまで気付かないことがありますのでご注意ください。
緑内障の種類と原因
緑内障で起こる視神経の障害は、眼圧によって引き起こされます。眼圧は眼を球状で適切な硬さに保っている圧力で、どの程度までの眼圧に耐えられるかには大きな個人差があります。眼の中には房水という水があり、その量によって眼圧が決まります。房水は、隅角から線維柱帯というフィルターを経てシュレム管を通り、目の外に排出されます。この房水の排出量が十分でなければ眼圧は上昇してしまいます。
眼圧の種類は主に原発緑内障、発達緑内障、続発緑内障に分けられます。これは眼圧が上昇する原因によって分けられています。原発緑内障と続発緑内障には、開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障があります。
原発開放隅角緑内障
房水の出口に近い場所にあるフィルターの線維柱帯が目詰まりを起こします。徐々に進行していく慢性の緑内障です。
正常眼圧緑内障
正常な眼圧で発症する緑内障で、開放隅角緑内障に含まれます。日本人を対象にした調査では、緑内障の患者様の約7割が正常眼圧緑内障だと報告されており、最も多いタイプの緑内障です。眼圧だけで判断するのは危険ですので、リスクが上昇する40歳を超えたら定期的に眼科検診を受けてください。
原発閉塞隅角緑内障
隅角が狭くなって房水がうまく流れなくなり、フィルターである線維柱帯がふさがって眼圧を上昇させます。徐々に進行する慢性型と、急激に眼圧が上昇する急性型があります。急性型の場合、できるだけ速やかに眼科専門医を受診する必要があります。
発達緑内障
生まれつき房水の流れる部分が未発達であることにより発症します。
続発緑内障
ケガや打撲などの外傷、角膜疾患、網膜剥離、目の炎症などによって眼圧が上昇しているケースと、薬剤(ステロイドなど)によって眼圧が上昇しているケースがあります。
緑内障の治療
障害を受けた視神経を元に戻すことはできず、視野の欠けた部分も戻りません。そのため、緑内障治療はそれ以上視神経がダメージを受けないよう、眼圧を下げて進行を抑制することが中心になります。
点眼薬
眼圧を下げる効果のある点眼薬が何種類かあり、適したものを用いて治療します。点眼薬には、房水の発生を抑制するもの、房水の排出を促すものなどがあります。眼圧が高くないのに緑内障を発症している方の場合でも、眼圧を下げることで緑内障の進行を抑制することが可能です。
外科治療
点眼薬をきちんと使っていても視野の欠けが進行することがあります。その場合には、房水の流れや排出を改善させる外科的治療が必要になります。外科治療には主に下記のような種類があり、治療が必要な患者様には他院へ紹介させていただいております。
レーザー療法
フィルターである線維柱帯にレーザーを照射して、房水の流出を促します。
線維柱帯切除術
線維柱帯の一部を取り除き、房水がスムーズに排出されるルートを作ります。
40歳を過ぎたら定期健診を
緑内障は日本人の中途失明の原因として最も多い病気です。視神経が障害を受けて視野が欠けていき、欠けた部分を元に戻すことはできません。そのため、できるだけ早く治療を開始して、進行を抑制する必要があります。
かなり進行するまで自覚症状に乏しいため、緑内障発症リスクが上昇する40歳になったら定期的に眼科検診を受けるようにしてください。